ダイヤモンドは炭素から出来ていますが、ダイヤモンド構造という共有結合の結晶構造をしているのでとても硬く、割れづらいと学校では習います。しかし、そんなダイヤモンドでも割れるんです。
どんな時に割れるの!?と疑問に思いますよね。今回は「ダイヤモンドが割れる秘密」に迫ります!
なぜダイヤモンドは硬いといわれているのか
まずは硬度について少し解説します。
宝石には保存・携帯に耐えられる十分な硬さが必要です。また硬さが違うということは物によっては扱いを気を付けなければいけません。
そして硬さといっても、ひっかきに対する硬さ、曲げに対する硬さ、衝撃に対する硬さなど、様々なものがあります。
宝石の硬度のジャンルのひとつに「モース硬度」と「ヌープ硬度」があり、ダイヤモンドはダントツでその数値が高いのです。傷の付きづらさというジャンルの硬さが一番ということです。
ということは、ダイヤモンドの「硬さ」は、階層をもう一段掘り下げてみると絶対的なものではないことが想像つきますね。
結論を申しますと、『厳密にいうとダイヤモンドは「靱性」という耐久性を表す数値が7』ということ(ルビーやサファイアが8、7は水晶と同じ)、そして『「へき開性」という原子構造上の特性を持っている』ので、脆い角度もあるということです。
そのため、硬いですが方法によっては割れてしまいます。
では、なぜ硬いと言われているのか、という答えです。
それはダイヤモンドを構成する物質がC(炭素)で4つの価電子全てを用いて他の炭素原子4個と共有結合(価電子を共有している状態)をしているからです。その結果、正四面体構造がいくつも重なり合った結晶となって非常に硬くなるのです。
出典:化学結合と結晶
ちなみにこれは中学校の理科の時間によく見る図ですが、ここにある黒鉛は、横の繋がりは強いですが、縦の繋がりが「ファンデルワールス力」という共有結合に比べ弱い力で繋がっているためダイヤモンドに比べ脆くなっています。
「モース硬度」は鉱物を硬さで10段階に分け、検査石がどの鉱物で傷が付くかの引っ掻き硬度を測ります。相対的な判断ながら、比較的簡単に検査ができる利点があります。一方は「ヌープ硬度」はダイアモンド圧子で検査物に荷重を加え、できたくぼみと荷重から絶対的な値を表わすものです。
出典:株式会社ダイアモンドグレーディングラボラトリー
本当に割れるの?
そんな話を聞いても、本当に割れるかは目で見てみないと信じられませんよね。
是非、こちらをご覧ください。ダイヤモンドをトンカチで割るという実証実験が行われています。
本当に割れています。
ダイヤモンドが割れてしまうのは「靱性」が弱いからに加えて、「へき開性」というものがあると先ほど述べました。それは、簡単にいうと木を木目の方向に切ると切りやすく、逆らうと切りづらいというのと同じようなイメージです。
いかがでしたか?
ひとくちに「硬さ」と言っても様々な「硬さ」があるので、一概に硬いから割れない!ともいえないんですね。
一般的に硬さに関しては無敵だと思われているダイヤモンドですら、傷はつきにくいですが割れるんです。
ダイヤモンドだからと言って油断せずに同じケースに乱雑に入れるのはNG。1つ1つセパレートに小分けして管理したほうが良いかもしれませんね。