グリーンの宝石の中でも特に有名な宝石『エメラルド』、皆様もエメラルドと聞けば深い緑色の美しい宝石をイメージするのではないでしょうか?しかしこのエメラルドという宝石は産出する地域によって微妙なカラーの違いを持っていると知っていましたか?エメラルドはそもそもベリル種(緑柱石)に含まれるのですが、このサイトでも何度も紹介している通りベリルは美しい宝石の宝庫ともいえる石です。
今回はそんなベリル種の宝石にはどのような物があるのかやエメラルドの産地によるカラーの違いについてご紹介します。
成分の違いによるベリル種の違い
まずはベリル(緑柱石)についてご紹介しておきましょう。ベリルにはエメラルド以外にも多くの美しい宝石が存在します。それではそれらの宝石とエメラルドは何が違うと思いますか?もちろんそれは色の違いなのですが、ベリル種の色の違いは宝石内に含まれる成分によって発色するカラーが大きく変わり、全く違う宝石になるという性質を持っているのです。以下に含有成分の違いによる色の違いをご紹介します。
名称 | ベリル以外の主な成分 | 色 |
---|---|---|
エメラルド | 酸化クロム・バナジウム | グリーン |
グリーンベリル(ヘリオドール) | バナジウム | グリーン |
アクアマリン | 酸化鉄 | ブルー |
レッドベリル(ビクスバイト) | マンガン | レッド |
ローズベリル(モルガナイト) | マンガン | ピンク |
上記のように含有する成分の違いで異なる宝石になります。エメラルドは酸化クロム・バナジウムが含まれることによりあの美しいグリーンを示します。
産地によるエメラルドのカラーの違い
エメラルドの産地と言えば多くの方がコロンビアが思い浮かぶのではないでしょうか。エメラルドはロシア、オーストリア、ノルウェー、ザンビアなど世界各地で産出されますが、その中でもコロンビア産のエメラルドが世界中のエメラルドの50%以上を占めています。それでは産出する国によるエメラルドの違いを見ていきましょう。
エメラルドと言えばコロンビア
コロンビアでは多くのエメラルドが産出する鉱山がありますが、特に有名な鉱山はムゾー鉱山とチボール鉱山です。この二つの鉱山では超一級品のエメラルドが産出し、ムゾー鉱山で産出されるエメラルドは深みのある緑色が特徴で青みもなく非常に美しい最高級のエメラルドが産出します。もう一つの有名鉱山『チボール鉱山』で産出されるエメラルドはムゾー産のものと比較すると透明度が高く鮮やかな色合いを持っているものが産出します。
独特な色合いが美しいジンバブエ産エメラルド
ジンバブエ産のエメラルドは小粒なものが多いという特徴を持っています。カラーに関しては独特な黄色味をおびた緑色をしており、コロンビア産のエメラルドのような深いグリーンとは違う美しさを持っています。このジンバブエで産出する独特な色味を持ったエメラルドは産出する鉱山の名前から『サンダワナエメラルド』と呼ばれます。
因みに小粒なものが多いジンバブエ産エメラルドは、ラウンドカットやスクエアカットに研磨され、一辺が3mm以下の物がほとんどです。
透明度が高いザンビア産エメラルド
ザンビア産エメラルドの特徴と言えば、内包物が少なく透明度の高いクリアなエメラルドだということです。本来、宝石は透明度が高くクリアなものほど評価が高くなると思われがちですが、ザンビア産のエメラルドは内包物が少なすぎるため光の屈折も少なくなってしまい宝石としての輝きも少なくなってしまいます。その為、均一なグリーンで非常に美しい宝石であるザンビア産エメラルドですが、コロンビア産のエメラルドより評価が低くなってしまいます。
ザンビアで産出されるエメラルドの原石の多くは丸みを帯びたものが多く、基本的にオパールカットを施されます。
まとめ
今回はグリーンの宝石の王様ともいえるエメラルドについてご紹介しました。エメラルドはそもそもベリルと考えれば緑以外のカラーも豊富にあると言えますが、実は産地によって同じグリーンの中にも微妙な違いがあるのです。
こういった同じ宝石の中でのカラーの違いは、宝石というものが長い年月をかけて作られるものなので、産出する地域の地中に含まれる成分によるものなのです。こういったカラーの違いは、宝石の評価に直結するものですが、カラーは個人の趣味によって気に入るものも違いがあることでしょう。最終的には宝石の評価を気にせずに自分の好みで一番美しいと思うものを手に入れてみるのがいいのではないでしょうか。