ビルマのモゴック鉱山で取れる、深紅で大きなルビー「ピジョンブラッド」。大理石の空洞で他産地に比べ大きく成長したルビーが取れるミャンマー。しかし、政府の兼ね合いなどもありなかなか手に入らない模様。そのため実質、価値も品質も希少性もナンバーワンと言っても過言ではないように思います。
そんなルビーの1つであるピジョンブラッドは鑑別機関によって全く違うそう…
今回はどんな違いがあるのかにフォーカスしていきます!
ピジョンブラッドとは?
出典:http://www.pigeonsblood.com/
その名の通り鳩の血のような赤色のルビーの事をピジョンブラッドと言います
やや濃色の赤で内側からの照りがある色合いをピジョン・ブラッドと言います。最高級のルビーの色であり、この色のほとんどがビルマで産出され、紫外線に対して発光する性質が強く、黒みの原因になる鉄の不純物が少ないのが特長です。
ルビーの希少性
ルビーはとても希少だと言われています。
サファイヤとルビーは同じ「コランダム」という鉱物から出来ています。鉱物的な視点で見ると同じ部類なのですが、コランダムにたった1パーセントだけクロムという物質を含むことでルビーとなります。
クロムの含有量が0.1パーセントだとピンク色のサファイヤと鑑別され、5パーセント以上だと灰色のエメリーと呼ばれる灰色の工業用の研磨用途の鉱物になり、価値はなきに等しくなります。
また、以下のことも希少な理由として挙げられます。
ルビーが希少な宝石なのはそれだけではなく、不純物として含まれるクロムの存在が大きな理由です。 コランダムに適度なクロムが含まれるという事自体が稀にしか起きないのです。 何故なら、クロムは珪酸分の少ない塩基性または超塩基性と呼ばれる火成岩に含まれますが、 コランダムは一般には珪酸分の多い酸性岩質の、しかも珪酸分が多過ぎては他の鉱物になってしまうという微妙な条件の下で生成します。 即ち通常ならコランダムにクロムが含まれることはあり得ないのです。しかし、実際にはルビーは存在するのですから、 あり得ない何か特別なことが起こったことになります。まさに、ルビーはルビーであるだけで特別な存在なのです。
出典:ルビー詳細解説 宝石.jp
各機関で色の定義が違う”ピジョンブラッド”
出典:http://www.pigeonsblood.com/
そんな貴重なピジョンブラッドですが、実は、鑑別機関によって定義が違います。
なぜかというとピジョンブラッドというのはルビーの色を主観的に形容したものだからです。
客観的に〇〇という成分が何パーセント含まれていて構造が〇〇だからピジョンブラッド!と定義ができないのです。あくまで「鳩の血の色」というとても不安定な主観に基づいて定義がなされています。
そのため、「ピジョンブラッドのルビーが欲しい」とお店に行って出されるルビーの色に少なからず差が出てきます。
鑑別機関においては、より客観性、普遍性が求められるため、国内のAGL(宝石鑑別団体協議会)に属する鑑別機関では、ピジョンブラッドという記載方法は用いられていません。
国外では、GRSのように定義が定められているものもあります。
最後は自分の感覚
そんなピジョンブラッドのルビーを購入するときはどうしたらいいのでしょうか。見極めるポイントが気になるところです。
単刀直入に言ってしまうと見極めるポイントはありません。
ジュエリーショップで「ピジョンブラッドのルビーです」と出てきたものがそのお店のピジョンブラッドです。
だから、目の前に出された「ピジョンブラッド」が自分が思い描いていた「ピジョンブラッド」かどうかが唯一見極めるポイントなのかもしれません。
私は、鳩の血はあいにく見たことがないので私が直感的に好きな「ピジョンブラッド」を選ぼうと思います!
いかがでしたか?
ピジョンブラッドは良く耳にする言葉なのでしっかりと定義されたもののように思えますが意外と不安定なものだったのですね。最後は自分の気に入ったピジョンブラッドを選ぶことが1番幸せな選択かもしれません。