今回は、宝石の中でも使用頻度が高いと思われる真珠について、その取扱いの注意点をご紹介します。真珠は、他の宝石とは異なり、貝が自然に作るものですので、石と比較すれば柔らかく繊細なものです。もちろん、本来は丈夫で、長持ちするものなのですが、取り扱いを間違ってしまえば、意外と早くダメになってしまいます。
そこで今回は、冠婚葬祭などで使用することが多い真珠のジュエリーについて、できるだけ長持ちさせるためのポイントをご紹介します。
基本的なお手入れについて
真珠は、モース硬度が4程度で、ルビー、サファイアの9、ダイヤモンドの10など、他の有名な宝石と比較するとかなり柔らかい宝石に分類されます。そのため、真珠よりも硬度の高い宝石や硬い金属などとこすりつけてしまうとすぐに傷が入ってしまいます。また、主成分が炭酸カルシウムですので、酸やアルカリ、熱などを嫌います。
真珠は、上述のように非常に繊細な宝石だということをおさえておき、普段から以下のようなお手入れを心がけましょう。
普段のお手入れについて
真珠の普段のお手入れについては、「とにかく拭くこと」と覚えておいた下さい。逆に言うと、これさえやっておけば基本的には問題ないでしょう。
何らかの機会に、真珠を身に着けた際には、汗や皮脂などが付着します。これらは水分と油分からできていますので基本的に酸性を帯びています。上述したように、炭酸カルシウムが主成分の真珠は、酸性を嫌いますので、着用後に付着した汗や皮脂、化粧品などを綺麗に拭き取りましょう。この「着用後は拭く」ということを習慣づけておけば、真珠を長持ちさせることが可能です。
なお、拭くのに使用する布は、パール・クリーニングクロスがあれば完璧ですが、なければ柔らかく清潔な布を用意すれば問題ありません。
ひどく汚れた場合のお手入れについて
何らかの理由で、真珠が酷く汚れてしまった場合には、以下の手順でお手入れしましょう。
- 綺麗な真水かぬるま湯ですすぐ。
- 柔らかい布で水分をしっかりとる。
- 自然乾燥させる。
真珠は「水洗いしてはいけない!」という話をよく耳にすると思いますが、乾いた布で拭いただけでは取れない汚れが付着した場合には、思い切って水洗いしたほうが良いです。ここで大切になるのは、”水洗い後は、しっかりと水けを取る!”ということです。真珠は、濡れたまま放置してしまうと、空気中の炭酸ガスを吸って弱酸性となり、表面の艶が無くなってしまうことがあるのです。また、水などに浸け置いて洗うのはNGです。水道水に含まれるカルキなどは、真珠に害を与えてしまう場合があります。
なお、水で流したぐらいでは汚れが取れない場合、綿棒や柔らかい歯ブラシ程度ならブラッシングしてもOKです。また、真珠のネックレスについては、中の糸が切れやすくなってしまったり、水分が抜けにくくなってしまうので、「水拭き⇒カラ拭き⇒自然乾燥」の流れで綺麗にしましょう。
乾燥・湿気・光は真珠の弱点
真珠は極端な乾燥や湿気、湿気と乾燥が繰り返されるということを嫌います。
真珠は、乾燥によって水分が失われると、枯れた状態になってしまい収縮します。そして、湿潤による膨張があると、真珠層に亀裂が入ってしまうことがあるのです。したがって、夏場の暑い車の中などに放置してしまうと、意外と簡単にダメになってしまいます。
また、紫外線によって退色や変色を起こしてしまうことがありますので、夏の強い日差しが直接真珠に当たるような場所に放置してはいけません。したがって、使用していない真珠は、太陽光や蛍光灯などの光が当たらないよう、ジュエリーボックスの中に入れて保管しておくようにしましょう。ちなみに、ジュエリーボックスの中には「湿度調整剤」を入れておくと良いですよ!