ルビーとサファイアは、赤色と青色の宝石というイメージが強く、全く異なる宝石と思われがちなのですが、実はどちらも『コランダム』という同じ鉱物からできています。
コランダムは、酸化アルミニウム (Al2O3) の結晶からなる鉱物なのですが、純粋なコランダムの結晶は無色透明で、そこに不純物が入ることで皆さんご存知の「赤色のルビー」や「青色のサファイア」になるのです。ちなみに、これらの宝石のカラーは、赤色のものはルビー、青色~ピンクまでのさまざまなカラーのものはサファイアと分類されるのです。しかし、中には分類が難しいものもあり、例えばピンクに近い赤色のものや、赤に近いピンク色のものもあり、カラーだけを見たのでは、ルビーと呼べば良いのか…ピンクサファイアと呼べば良いのか…と迷ってしまうこともあるでしょう。
それでは、ルビーとサファイアは同じ鉱物だとしても、境界線はどこなのでしょうか?今回は、ルビーとピンクサファイアの境界線についてご紹介してまいります。
サファイアとルビーの違い
まずは、同じコランダムという鉱物なのに、ルビーとサファイアに分かれるという点をざっと説明しておきましょう。冒頭でもご紹介したように、本来無色透明なコランダムに不純物が入ると、色がついてルビーやサファイアになります。もちろん、不純物の種類や含まれる量によって様々なカラーになり、ファンシーカラーサファイアと呼ばれるようにいろいろな色を楽しむことができるようになるのです。それでは、ルビーとサファイアの違いは何なのでしょうか?皆さんも「ルビー=深い赤色」「サファイア=美しい青色」と強いイメージがあると思いますが、これは、不純物として酸化クロムが含まれる場合は赤色を発色する、鉄とチタンが含まれる場合は青色になるという違いです。
ピンクサファイアとルビーの違い
先ほどご紹介したように、赤系の色が出るためには、不純物としてコランダムの中に酸化クロムが入っている必要があります。そして、このクロムの含有量の「多い・少ない」の違いによって、ルビーかピンクサファイアにわかれるのです。一般的にいわれているのは、クロムの含有量が1%前後だとルビー、0.1%程度になると赤色が薄くなりピンクサファイアになります。しかし、その判断は難しく、当然「限りなくルビーに近いピンクサファイア」や「色の薄いルビー」などの石も出てきます。実際に、宝石を鑑定に出してみたとしても、鑑別機関ごとに鑑別結果が違うということも稀にあるくらいで、良質なピンクサファイアなのか、色が薄いルビーなのか立ち位置によって判断も異なります。
したがって、ここまではルビー、ここからはピンクサファイアと、明確に境界線を引くことは極めて難しく、微妙な場合は自分の気持ち次第と考えても良いかもしれませんね。ちなみに、ルビーの方が一般的に高額になりやすいため、どう見てもピンクサファイアに見えるような石をルビーとして販売しているお店もあります。
まとめ
今回は、ピンクサファイアとルビーの境界線ってどこ?についてご紹介してまいりました。いかがでしたか?
そもそもサファイアとルビーは同じ鉱物からできており、赤系の色を出す不純物もクロムでピンクサファイアとルビーは同じと考えてもしょうがないものです。この2つは、成分的にも大きな違いがありませんので、一般の人が判断するのもとても難しいと思います。
クロムの含有量の違いで色が変わりますし、とても細かい数値の違いであれば、プロでも本当に判断に困る石も現実にあるのです。そのため、どうしてもピンクサファイアあるいはルビーが欲しいという方は、どちらの宝石なのかはっきりと区別できるものを購入することがおすすめです。
はっきりとこれが境界線ということを示すことが困難ということが今回の結果となりますが、ご購入の際参考にしてみてください。